生物の中で人間と同じぐらい色を識別できるのは、猿ぐらいだとも言われています。
例えば料理で考えてみても、人間は味覚だけに頼っているわけではありません。
嗅覚もそうですが、料理の盛り付け方、色あい、照明など、視覚による部分も味わいに大きく影響しています。
人間の心理はまず目に表れると言われています。
視線には、コミュニケーションを円滑にするヒントが詰まっているわけです。
以下、今日からさっそく使える“視線で相手を見抜く心理テクニック”をいくつかご紹介いたします。
まず、“視線”と言ってもいろんな切り口があります。
相手の心理を見抜くためには、以下の4点をチェックします。
- 相手が自分を見ているか
- 視線の動き
- 視線の方向
- 視線の集中度
1.相手が自分を見ているか
相手が自分をみているのか、いないのか。
つまり視線そのものが自分に向けられているかが初めのポイント、入り口です。
これは単純な話ではありますが、視線の有無は自分に対する興味・関心の有無を物語っています。
自分に視線が向けられていないということは、相手は自分に興味・関心を示していないということです。
なお、興味・関心がないということは、必ずしも悪いことではありません。
例えば、特に何もしていないのに街中で見ず知らずの人から急に見つめられたりする(なぜか興味・関心をもたれている)と、かなり怖いですよね・・・。
また、完全な他人同士でたまたま目が合ってしまったときは、すぐに目を反らしたくなりますよね。
これはお互い無意識のうちに、視線が興味・関心のサインになること、意味もなく相手を見つめることは怪しいことだという、共通認識になっています。
逆に、知り合い同士、関係者同士がお互い視線を交わすときには、(良くも悪くも)何らかのコミュニケーションを欲しているということです。
ただし女性の場合、視線を合わせ過ぎているときは、逆にコミュニケーションがとりたくない可能性がある、という実験結果もあります。
心理学者のR・V・エクスラインらの実験で、「事前に伝えた事実を面接で隠すよう被験者に指示し、被験者の視線が面接でどのようになるか」というものがありました。
指示がなかった場合と比べて、男性は面接時間のうち面接官と目を合わせている時間の割合が約6%下がったのに対して、女性の場合は逆に約9%上がったということです。
もちろん人によりますが一般的な傾向として、女性が何かを隠しているときは、逆に相手を見つめてなかなか視線を外さないことが多いという実験結果のようです。
口で話していることと逆のところに真意があるかも、といった推測ができます。
2.視線の動き:初対面で先に目を反らす人は?
二つ目は視線の動きから相手の心理を読み取るテクニックです。
会話をしているとき、視線を反らすタイミングにより、相手の意図がわかることがあります。
一般に、会話の初めと終わり頃は、相手に視線を向ける率が高くなります。
初めは、これから話を始めますよという告知の意思が表れるため、終わりは、話の内容を相手がどれくらい理解してくれたか様子を探りたいためです。
単純な例ではありますが、このように視線には相手の心理が表れています。
逆に、視線を外すときには、どんな心理が表れているでしょうか?
一般的には、初対面で先に目を反らす人の方が、能動的な性格だと言われています。
また、会話において相手より優位に立とうとする気持ちがあると、心理的には先に目を反らそうとします。
交渉事で心理テクニックを駆使している人の中には、あえて会話の最初で先に目を反らして、心理的に風上に立とうとする人もいます。
目を反らされた側の人にとっては、無意識のうちに、相手の心が気になってきます。「嫌われてるのかな?」「何か気に障ることを言ってしまったかな?」などなど。
そうなると、どんどん相手のペースに飲み込まれてしまいます。
初対面の会話でまず視線を外してくるテクニシャン(!?)には注意する必要があります。
ただし、「先に目を反らす人は~」という話はしてきたものの、相手に見つめられた“途端”に目を反らす人は、心の中に何らかの劣等感や引け目を感じている表れであることが多いです。
3.視線の方向:横?下?上?
三つ目は視線の方向です。
視線の方向にも心理が表れることがあります。
例えば街中で好みの異性を見かけたとき、一瞬で視線が向きますが、通常はすぐにいったんそっぽ向いて視線を外す動作になります。
心理学でいう「抑圧」の効果が働いて自制するからです。
もっと関心が高まると、いったんはそっぽ向いたものの、横目で見るようになります。
相手のことはもっと知りたいが、自分の関心は相手に知られたくない、という心理状態が「顔は動かさず視線だけ横に向ける」という動作となって表れます。
また、知り合いにおいては、視線の方向を横ではなく下に伏せる場合、基本的には信頼しているという心理が表れています。
下に伏せた後、上目遣いに見る、という動作を繰り返す場合は、信頼や尊敬、好意の表れであると言われています。
4.視線の集中度:視線は落ち着いてる?
テレビ等で討論会なんかを見ているとよくわかるのですが、痛いところを突かれて、目が左右に早い周期で動いている人がいます。
これは、どう言い返そうかと頭の中でいろいろ考えている証拠です。
また、緊張しているとき、不安なときなども、無意識のうちに周囲からできるだけ多くの情報を仕入れようとしますので、同じくきょろきょろと目が動きます。
話をしていて、相手がしばらく視線を落とすことや、目を閉じて視線を断ったり、遠くの方をぼんやりと眺めたりすることがありますが、これは思考に集中するため、目への刺激を抑えようとする本能の表れです。
考えがまとまると、再び目の動きは活発になり、規則的なまばたきが始まります。
このような動作が出たら、間もなく会話に次の言葉が出てくることでしょう。
視線はきょろきょろと動いているにもかかわらず、まばたきが規則的なときは、思考がまとまりかけてきたサインです。
以上のように、視線に注目することで、相手の心をある程度読むことができます。
まさに「目は口ほどにものを言う」ということです。
会話の中でこの心理テクニックを駆使することで、口・言葉だけでは分からない、多くの心理情報を獲得することができます。ぜひお試しください。
(わざとらしくまじまじと観察して角が立つようなことがない範囲で!w)